Varix of HALクリニック

HALロゴ.tiff   〒950-0861 新潟市東区中山6-13-43 HALクリニック



下肢静脈瘤とは?

IMG_1917.jpg 静脈は体から心臓への血液の帰り道です。下肢から心臓に血液が戻る場合は、重力に逆らって下から上へ昇らなければなりません。動脈の血液は心臓というポンプで押し出されますが、静脈の血液は筋肉の収縮によって血液を押し上げるので、逆流しないように静脈に弁がついています。
 しかし、静脈の弁は薄くて弱いためにだんだん働きが悪くなります。そうなると血液が逆流して、重力の影響で下肢に血液が溜まります(「うっ血」といいます)。静脈は壁が薄いので、徐々に引き延ばされて静脈が太くなり、蛇行するようになります。最初は症状ははっきりしませんが、血液のうっ滞が進むために、脚がむくんだり、色素沈着して皮膚炎が起こったり、さらには皮膚がえぐれてきます(「うっ血性潰瘍」といいます)。また、静脈瘤の中でうっ滞した血液が固まって、赤く腫れ上がり、痛みが出ることもあります(「血栓性静脈炎」といいます)。


 残念ながら、「静脈瘤」は一度なると、元どおりに治ることはありません。静脈瘤とつきあっていくために、日常生活で注意をするとともに、症状に応じた治療法を選択する必要があります。

弾性ストッキング

ストッキング.png 弾力性のあるストッキングで脚を圧迫することにより、下肢の静脈に血液が逆流・うっ滞するのを防ぎます。脚のむくみやだるさが軽快し、色素沈着や皮膚炎などの皮膚の症状が軽快します。弾性ストッキングの着用だけで簡便な方法ですが、ストッキングを着用しているときだけの効果で、根本的に静脈瘤を治す治療法ではありません。このため、軽症な場合に主に用いられます。また、硬化療法や手術療法を行った後に行うことで治療効果を高める基本的な治療です。静脈瘤の治療のためには、市販のストッキングではなく、医療用のストッキングを用います。
 しかし、弾性ストッキングを購入されても、実際にはほとんど使われていない患者さんに多く出会いました。このため、当院では使いやすい弾性ストッキングを選択するとともに、使用法についても指導して、長期にわたって弾性ストッキングを使っていただけるように努めています。


硬化療法

 比較的軽症で、静脈瘤が小さい場合に行います。静脈瘤の数カ所に注射で硬化剤という薬を注入し、静脈瘤を圧迫してつぶします。その後は、弾性ストッキングで圧迫を続けます。最初は、静脈瘤に“しこり”(血栓)と“色素沈着”が起こりますが、徐々に消失していきます。短時間の処置ですむという利点があります。硬化療法を追加するともできるので、患者さんの静脈瘤の状態に応じて行うことができます。また、高位結紮術やストリッピングなどの手術治療と組み合わせて行うこともあります。


高位結紮術・静脈瘤切除

 静脈瘤の逆流の原因である表在静脈の本幹の根本の部分を縛って、逆流を防ぐ治療です。下に述べるストリッピングよりも小さな手術で行うことができます。局所麻酔で小さな皮膚切開で治療できる利点があります。ただし、高位結紮術だけでは再発が多いので、膝の周囲で静脈を縛ることを追加したり、ふくらはぎの静脈瘤を切除したりすることを追加して再発の可能性を少なくしています。必要により硬化療法も併せて行います。こうした手技の組み合わせで、ストリッピングに匹敵する治療効果が得られます。日帰り手術が可能であり、入院の必要がないという利点があります。


ストリッピング

 静脈瘤の原因である表在静脈を引き抜いて取る手術です。静脈を縛ることに比べて取り去ることでの確実性があります。全身麻酔や下半身麻酔が必要なことが多く、入院が必要になります。重症な静脈瘤ではストリッピングを行うことが必要です。


当院での治療方針

medical3.jpg 当院では、患者さんごとの静脈瘤の状態を判断して、治療方法を患者さんと相談しながら決めていきます。治療だけでなく、日常生活における指導や長期にわたる経過の観察を行って、状態の変化に応じた治療を行います。お気軽にご相談ください。